思春期の突発性側湾症についてのQ&A|側湾症の原因は未解決のまま。
今回はミシガン大学が2020年に発表した思春期特発性側弯症についてのQ&Aを紹介します
下記リンク↓
https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2020/0101/p19.html
米国ではの青少年の1%~3%が罹患するといわれています。
この病気は、先天性または神経筋の異常がなく、軽度の側湾症は無症状であることが多いです。 筋骨格系の背部痛の原因となることがありますが、身体障害や機能障害を引き起こすという証拠はありません。
重度の側弯症の患者は、身体的苦痛、美容上の欠陥、心理社会的苦痛、まれに肺障害を持つことがあります。
いくつかの研究で、軽度から中等度の側弯症の進行を抑えるための装具と側弯症に特化した理学療法は、中程度の効果を示すが、生活の質に対する効果はないことが明らかにされています。
手術が装具や観察より優れていることを証明する質の高い研究はないため、手術は重度の症例にのみ行うべきとされています。治療が患者様の悩みを全て改善するという証拠 もほとんどありません。
医師は、10~18 歳の小児および青年における青年特発性側弯症のスクリーニングの有益性と有害性のバランスを評価するための十分な証拠を見いだせなかったことが示されています。
突発性脊柱側湾症のスクリーニングテストの有益性と、その症状の有害性のバランスを評価したところ十分な根拠の提示には至れませんでした。つまり症状がそもそも軽いため、わざわざ検査する必要性はないといことです。
また、治療の際には様々な装具や手術、理学療法によって生活の質は著しく害されるため、治療による利益を上回ることに関して現在のところはエビデンスが無いのです。
側湾が重度の場合は、神経症状や痛み、肺疾患、美容上の悩みなどが大きくなる可能性があります。治療時の苦痛や生活の質の低下が、それらの主観的な悩みを下回るなら治療を敢行すべきかもしれません。
ただし装具や手術による治療の副作用として、体の痛み、身体的制限、不安、およびう つ病などが挙げられています。これらのリスクをよく考慮する必要があります。
米国で行われた25の施設で242名を対象に行われた研究では、軽度から中度の側湾症の理学療法において、症状の進行を大幅に抑制する結果が得られました。
イタリアで行われた研究では、110名の軽度の側湾症患者に対して、進行を抑制するような日常的な意識を運動の奨励によって全体の症状改善が見られました。それに対して、ただ病院にて理学療法をする群では改善は見られず、むしろ悪化した結果が得られました。また精神的な健康や痛み、美容上の自己認識イメージも改善したと報告されています。
- 軽度の側湾症の治療は日常的に行う運動が効果的である
- 重度の場合は手術も可能だがリスクを伴う
適切な運動や意識を持って日常生活を送ることが大切だということでしょう。そのためには自分の状態を早めに理解しできるよう、思春期であれば親の意識も高めておく必要があります。
以前から遺伝による原因も示唆されています。いろいろなリスクを理解したうえで、胸部のレントゲン検査などの際に側湾症に気づくことができたその日から、運動や意識の変化によって進行は抑制することができます。