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生体力学「バイオメカニクス」の中心にあるJoint by joint理論|機能から考える痛みの改善について

今回はJoint by joint理論について解説します。今回は例として膝の痛みがある場合を考えていきます。この理論は、ミクロで見ると複雑で難しい体の構造や機能をマクロの視点で見ることで単純化する考え方です。

「木を見て森を見ず」を人間の骨や筋肉、皮膚などの運動器にフォーカスして構築された理論です。

それでは始めていきます。

Joint by joint理論とは

この理論では、人の関節を「スタビリティ(安定性)関節」と「モビリティ(可動性)関節」の二つに分類します。

簡潔に説明すると、可動軸の少ない関節をスタビリティ関節、可動軸の多い関節をモビリティ関節と定めます。簡単な図を下に貼っておきます。

上の図でいうところの青丸はスタビリティ関節、赤丸がモビリティ関節です。図にはありませんが、足の裏は床に固定されスタビリティとなっています。

ひとつ関節を越えたところでは同じ機能の関節がある、という構造になっています。この図ではかなりわかりやすい関節のみに印をつけています。本来はさらに細かく分類されています。

肩を例に考えると

この理論で肩の関節の運動を考えてみましょう。

肩関節は可動範囲や軸の数が多く、ぶん回し運動なども可能な代表的なモビリティ関節です。これに対して肩甲骨と肋骨の関節を見てみるとスタビリティ関節となっています。

肩甲骨が安定することで肩関節の動きは正常に行われることが知られています。これは肩甲骨がカチッと固まることを指すのではなく、筋肉によって肩の運動に従った適切な安定のことを指します。

セラピストたちが肩の関節を痛めた経験のあるクライアントと出会った時に最初に考えるのは、肩甲骨周辺の筋肉は適切に機能しているだろうかということです。

各関節にも同様の考え方が適用される

膝の場合も考えてみましょう。膝が痛くなるときは、まず足首や股関節の機能を確認します。それらがモビリティ関節として働いているかどうか、スタビリティの役割を担ってしまっていないかどうか、結果的に膝関節にモビリティを要求していないかどうかを確認します。

そこからさらに足の裏や、骨盤や腰まで思考を発展していきます。このようにして関節を治療していくのが一般的です。

まとめ

この理論は専門家以外が身体に関する知識を学ぶ上でとても理解しやすいもので、この20年ほどでかなりコモディティ化したと思います。

人の身体の健康寿命の上昇は生活の質を高めることにもつながるので、さらに広がっていくこと願っています。