腰椎椎間板ヘルニアの話|ヘルニア側の筋肉は小さくなる
ヘルニアの病態や症状については、ネット検索の結果を確認すれば最近は問題ないと思います。
今回はヘルニアに関するユニークな論文と、それに関係する過去の症例を紹介します。
若年のうちは椎間板が潤っており、柔らかすぎるためにヘルニアを発症しやすいです。逆に高齢になると椎間板は変性し、局所的に本来あるべき位置から逸脱して神経に接触し、発症します。
あくまで統計ですが、青壮年期が最もヘルニアになりにくいということです。
神経が圧迫され、局所的な痛みや神経支配下にある筋肉の痛みや痺れ、機能不全、感覚異常などさまざまな症状を呈します。
保存的、または手術によって治療します。保存の場合はマクロファージよって分解されることもあります。そういうことがあればラッキーです。
「萎縮するだろうな」というのが臨床家としての最初の感想ですが、この研究ではどの筋肉がどの程度萎縮するのか具体的に示してくれました。
腰部の筋肉に関しては、腰椎周辺にいくつか存在する起立筋肉群のうち多裂筋と呼ばれる筋肉が最も著しく萎縮し、反対側に比べて小さくなっていることがわかりました。ヘルニアによる痛みに加えて、多裂筋萎縮による腰部不安定の結果、別の理由の腰痛が発生してしまうでしょう。
確かに、実際にヘルニアの患者様の腰に触れると筋肉の厚みに左右差がある場合は多くあります。
「ヘルニアの人が皆腰痛なわけではない」という報告は以前からありました。この論文でも触れられていますが、ヘルニア自体では局所的な痛みはなくても、筋萎縮による腰痛は起こり得るということです。
神経症状がない限りは、多裂筋に対しての理学療法や有用ではないかと再確認できた論文でした。
下にリンクを貼っておきますね。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/49/1/49_12120/_article/-char/ja/