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【四十肩】肩関節の複雑な機能の話|治療の手順や方法の選択

四十肩などと呼ぶことには少々認識の誤差を招く可能性があるため、できるだけ避けたい思いもあります。ただ伝わりやすさ、分かりやすさを重視する場合はこの呼び方をする場合があります。臨床では肩関節周囲炎と呼ばれることが多いです。

四十肩、または五十肩と呼ばれるこの肩の障害を治療する際は、肩の関節に加わるストレスを分散することを目的に、全身的な関節の可動域の拡大や機能の向上を行います。

まずは肩関節の複雑な機能や構造を見ていきましょう。

「肩」関わる骨とその関節
  1. 上腕骨
  2. 肩甲骨

この二つによって構成される関節が「肩甲上腕関節」と「第二肩関節」です。

多くの場合この関節が硬くなったり、炎症したり、石灰化したりすることを四十肩と呼びます。

問題はなぜこの関節にそのような異常が起こるのかということです。それを考えることが治療や症状の軽減に繋げるために必要なプロセスです。もう一つ、肩甲骨について考えてみましょう。

  • 鎖骨
  • 胸郭(肋骨)

肩甲骨は上記の二つの骨と関節しています。それぞれを「肩鎖関節」、「肩甲胸郭関節」と呼びます。さらにもう一つ、鎖骨は胸骨という胸の中心の骨と関節しています。これを「胸鎖関節」と呼びます。ここまでが肩の治療の際に最初に確認する関節たちです。まとめてみましょう。

  1. 肩甲上腕関節
  2. 第二肩関節
  3. 肩鎖関節
  4. 肩甲胸郭関節
  5. 胸鎖関節

場所はともかく、これだけ多くの関節によって肩関節は構成されていることをまずは理解してみてください。肩を上げるような何気ない動作には、これらの関節たちの絶妙な協調が関係しています。

セラピストが最初に確認すべきこと

我々セラピストが最初に確認するのは、上腕骨に対して肩甲骨が連動して運動しているかどうかです。肩を上げる際に、上腕骨が上がっていくにつれて肩甲骨も遅れて少しづつ上がっていきます。このリズムは肩甲上腕リズムと呼ばれます。

肩関節周囲炎を治療する際にはこのリズムが狂っていないかを最初に確認し、続いてどうして狂っているのかを考え、最短での治療プログラムを提案します。

筋肉の低下や、共同運動を体が忘れてしまっている場合など、原因は様々です。一つ一つスクリーニングしながら治療しています。

どうすれば治るのか、という話

あれこれと治療を繰り返しますが、治療の甲斐あって得られるのはあくまで痛みの度合いを下げる鎮痛に終わることが多いのが現状です。

しかしこれは症状のレベルにもよります。一回の施術で完治してしまった例も目にしたことがあります。久留米大学の症例では、増えすぎた血管を手術で除去することで完治した例もあります。

これに関してもやはり良いセラピスに出会うことが重要です。単一の方法での完治はあり得ないと考えるべきです。さまざまな方向からのスクリーニングの末にようやく改善策が見つかるものです。

しかしながら、本人も病院も匙を投げ、治療を諦めた2ヶ月ほど後に自然治癒した例もあり、なんとも難しい障害なのです。

重要なのは「いつか治る」と信じ悩みすぎず、痛みが強いうちは鎮痛を目的に処置をすることです。それが生活の質を下げずにこの障害と向き合う秘訣です。