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グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)の話|原因や治療法について解説

グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)はサッカーやバスケットの選手に多く発生する股関節のスポーツ障害です。

日本のサッカー選手でもこれによって引退した選手も多く、NBAではレブロンジェームズが2019シーズンの17試合連続欠場の原因ともなっています。

一度発症すると治りが悪く、動こうと思えば動けるが激痛が夜まで残るという厄介な症状です。スポーツ選手に限らず、趣味でランニングやテニスをされている方も発症のリスクがあります。

今回はこのグロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)の原因や治療の方法を解説します。

グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)の原因

グロインペイン症候群は、ジャンプやキックなどの繰り返しのストレスによって、股関節を形成する筋肉や関節、靭帯や骨などの「どこか」を損傷し炎症を繰り返してしまう障害です。

実際に股関節という人体の中でも特に大きな関節のどの組織を損傷しているのかを明らかにすることすら難しく、最近はMRIやエコー、レントゲンなどあらゆる方法で検査を行います。

また、ジャンプが原因で起こるものと、キックが原因で起こるもので炎症部位が異なることあり、体重や体格によってさらに炎症部位が異なる場合もあります。表層の組織が損傷している場合は圧痛のある場所を探すことはできますが、股関節の複雑な関節構造のどの部位を損傷しているのか、損傷している部位別にどのような治療方法を選択すべきかは今のところ明らかにはなっていません。

 

治療の方法

それでも我々医療従事者は治療に当たらねばなりません。まず最初に行うのは安静の指示です。激しい炎症による痛みが沈静化されるまでは、まず安静を指示します。そして炎症している部位を特定するためにMRIやエコーで検査を行います。

炎症部が判明したら、その部位にかかる負荷を減らすためのあらゆるリハビリテーションを施します。膝や足首を柔軟かつ安定させたり、腰や体幹の安定性を高めたり、胸郭の柔軟性を高めたり、肩の関節の可動域の拡大まで行います。重度の場合はそこまでをスムースに行ってようやく股関節の痛みが減少することも多いです。

そして最も厄介なことは、半年以上も続くような慢性痛に発展した場合はスポーツが怖くなったり精神的なトラウマへと移行することもあります。そうなる前に治療を完了するためにも、こういった難しい疾病は未然に防ぎ、発症した場合も早急に対応する必要があります。

(股関節周辺の組織の分布は全身の関節の中でも特に複雑を極める)

予防の方法

先述したように股関節を痛めないためには、股関節以外の関節が適切に運動している必要があります。全身の関節にいつも気を配りながらスポーツを楽しむべきです。

そしてさらに大事なことは、無理をしないことです。経験上疲労が抜けきれていない人によく発症する傾向があります。トレーニングや練習と同じくらいに、リカバリーにも集中する必要があります。

股関節に異変を感じたら、全身を休ませ、信頼できるセラピストやトレーナーに全身をチェックしてもらうことをお勧めします。