繰り返す足首の捻挫、予防の方法を解説|切れた靭帯はつながらない
「ほぼ毎日のように捻挫するんです」
そんな声が珍しいわけではありません。頻繁に捻挫を繰り返してしまうことには原因があります。今回はその原因と対処法を解説します。
頻繁に捻挫を繰り返す状態に関しても、やはり早期に対処しておくことをお勧めします。
- インソールで正しい関節位置を体に教育する
- 体の防御システム、「反射」を取り戻す
必要なことは上記です。ではこれらを詳しく解説していきます。
足首の捻挫は大きく分けると内側か外側かに分けられます。一般的に最も多いのは写真上の「内反捻挫」と呼ばれるものです。
真ん中が「外反捻挫」は比較的珍しく、下は日本の教科者にはあまり書かれていない High ancle sprain という足首が回旋して起こる捻挫です。
ここでは内反捻挫に関して解説します。
内反捻挫では主に前距腓靭帯という靭帯を損傷することが多いです。他にもいくつかの靭帯を損傷しますが、今回はこの靭帯に注目してみましょう。
損傷にも程度があり、前距腓靭帯が伸ばされる状態をⅠ度、部分的に切れた状態をⅡ度、完全な断裂をⅢ度と分類します。
残念ながら完全に断裂した場合は手術しない限り再び繋がることはありません。
手で動かして検査したりエコーで検査して靭帯の状態を確認することができます。学生時代にバスケットやテニスで激しく捻挫を繰り返したという場合の多くはⅡ度かⅢ度であることが多く、靭帯がすでに切れていることを伝えなくてはなりません。
足に限らず人の体には怪我予防するための「反射」という機能が備わっています。
例えば膝をコンっと叩くと膝が伸びる脚気の検査が代表的です。叩かれたり、急に引き伸ばされたりすると筋肉は急激に収縮して怪我をしないように防御します。これを「反射」と呼びます。
もちろん足首の捻挫でも同様です。足首を捻挫しそうになると、いくつかの筋肉が急激に収縮して捻挫を防ぎます。
ただし、足首の捻挫に関してはいかに筋肉が収縮しても防げないことが多く、そのうえ捻挫を繰り返すことで反射のシステムは徐々に失われていきます。
繰り返せば繰り返すほどに、さらに捻挫をしやすくなっていきます。
さらに靭帯が切れているとなると、足元はさらに不安定になり捻挫を繰り返す悪循環に陥ります。
捻挫で損傷するのは靭帯だけではありません。周辺の軟骨や骨、脂肪、血管などたくさんの組織を同時に損傷します。
また軟骨は損傷した後、元の状態に直ることはありません。必ず損傷の後遺症が少なからず残っていきます。
血管などを傷つけることでむくみなど血流障害の原因になり、軟骨を損傷することで関節の変形の原因にもなります。
介護の現場では高齢者の足首の変形もまた多く目にします。その多くはやはり若年期に捻挫を繰り返しており、病院で治療をしなかったことが確認できます。
インソールを強くお勧めします。
反射がうまくできていない足の形状は、ほとんどの場合扁平足やオーバープロネーションの状態になっています。適切な関節の位置を維持できないのです。
インソールによって形を整えることで、まずは正しい関節の位置を取り戻し適切な運動を感覚で捉えられるようにします。
すると不思議なことに神経を介して脳が学習していき、捻挫の際の反射を少しずつ取り戻すことができます。
訓練や運動する余裕がある場合は足の筋肉を地面に立った状態でトレーニングすることをおすすめします。足を浮かした状態でトレーニングをしてもこの反射機能が改善することはないからです。
捻挫もやはり立っている時に起こるものであるため、訓練もやはり地面に立って行う必要があります。
- インソールで正しい関節位置を体に教育する
- 体の防御システム、「反射」を取り戻す
冒頭の二つの項目で慢性的に繰り返す捻挫は徐々に減らすことができます。経験上はインソールを使用し始めて初期から捻挫は減る傾向にあります。
今回もやはり早めの対処をお勧めします。