土踏まずの役割の話。扁平足による体への影響を詳しく解説。
人間は50kgや80kgといった体重を足の裏という極端に狭い面積で絶妙に支えています。その中で土踏まずは着地したときの衝撃を吸収する重要な部位です。
土踏まずが崩れた扁平足は、足の疲労だけでなく、膝の痛みや腰痛、偏頭痛の原因となったりさまざまな不調につながります。
この記事では、土踏まずが我々の体や生活においてどのような役割を果たしているのかについて詳細に解説します。
一般的に土踏まずと呼ばれる足の内側のアーチは、歩行時や着地した際の衝撃を吸収するために存在します。
また歩行時には前へ進む推進力の一つとしても機能します。
衝撃を吸収する機能に関しては膝や背骨など、足の裏以外にもいくつか存在しています。
土踏まずは足の裏から伝わる衝撃を最初に受ける重要な緩衝システムの一つであり、この機能が破綻してしまうとその影響は全身に波及します。
土踏まずが下がり潰れてしまった状態は扁平足と呼ばれ、日本人の4人に1人がこの状態にあると言われています。(名古屋大学調べH15)
足の裏には内側のアーチだけでなく、小指側には外側のアーチ、そしてその中間に横向きのアーチが存在します。
内側アーチは見た目にも大きく確認しやすく、機能も他の2つのアーチよりも大きな役割を担っています。
足の裏ではこの3つのアーチが絶妙に機能を分担しながら衝撃を吸収し体へのダメージを軽減しています。
土踏まずは日々の生活習慣の積み重ねにより潰れてしまうことがあります。
医療の現場では、遺伝性で親御さんとその子供がどちらも扁平足という状態もよく目にしました。
これがDNAによるものか、生活習慣が同じことが理由なのかは定かではありませんが、その両方が考えられると思われます。
10歳くらいまでは一般的に扁平足であることは多く、そこからの運動の頻度や強度によってアーチの高さは変化します。
しかし、部活やクラブでのスポーツの経験があっても体重が重すぎることや足の使い方によっては扁平足のまま大人になってしまい、学生の間にはさまざまな疾患に悩まされることが多くあります。
例えば、
- 足底筋膜炎
- アキレス腱炎
- シンスプリント
- オスグットシュラッター病
- グロインペイン(股関節痛)
- 腰椎分離症
- 腰痛
- 背部痛
などなど、代表的な疾患は上記に挙げたものになります。
臨床での経験上これらの疾患が発症してから治療していた頃は治癒が遅れ現役をそのまま終えることが多くありました。
足の形に着目し、症状が完成する前に扁平足をケアするようになってからはそのようなことは格段に減ったことを今でも覚えています。
これは永遠のテーマです。
3ヶ月ほど治療のためのメニューをしっかりとこなしながら経過を観察し、土踏まずが再建されることを確認します。
全く変化しない扁平足もあります。
また、一回の施術で再建されたこともあります。
これらのパターンには一定の法則があると考えています。(この解説は別の機会に)
結論は治るものと治らないものがある、ということです。また、治らない扁平足に関しては痛みや自覚症状が少なく、その形状のみが外観的に気になっている人が多い印象です。
一般的には足底の筋肉のトレーニングとマッサージ、そしてインソールによる日常的なサポートです。
とりわけ踵の角度が重要で正常な位置に移行するよう促すようなインソールをオーダーメイドすることをお勧めします。